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伊丹敬之先生『イノベーションを興す』刊行記念講演会(2010/1/18)@丸善丸の内本店

20100118192150 今年初めての丸善講演会に参加しました。これまでとは一風変わった内容です。経営学者の伊丹敬之先生の講演です。

新刊のタイトルは「イノベーションを興す」。昨年Microsoft Asia High Tech Summitに参加して以来、個人的に大きなキーワードであるイノベーション。著作の内容は全く知らないまま、そして伊丹先生のことをよく存じ上げないまま、このイノベーションというキーワードだけでピンときたので、即座に丸善へ申し込みの予約電話を入れました。

正直、書籍を購入した時は戸惑いました。少し技術よりではなかったかと。ただ、その思いも吹き飛ぶような著作のメッセージが伝わってきました。特にイノベーター企業としてホンダとソニーが取り扱われていたこと。個人的にこの両企業の大ファンであり、そういう側面からも共感できる内容でした。

ただ、どうしても自社の現状との比較に心が動き、足りないところを思い知る一方でやるせない気持ちにもなるという複雑な心境で拝聴しました。

■何故この本を書いたか
企業のイノベーションが廃れていくということは、日本の将来の食いぶちが無くなるということを危機感として掲げた上で、「日本の企業は高い技術を持ちながらも、社会への出し方がマズイ。マーケットに出して、社会を動かそうという時のやり方が悪い」という指摘からスタートしました。

一般的なメーカー企業における理科系出身者は、入社時は新入社員全体の7割程度の数がいるが、役員における理科系出身者は3割程度しかいない。この文理比率の逆転がなぜ起きるのか理科系出身者は経営についてしっかりと学べていないのではないかというニュアンスとして僕は理解しました。

ここには少し違う考えを自分としては持っています。これは僕の同期が話していたことですが、「会社においてタイトルがつき管理職になることこそが出世なのだという考え方しか存在しないことがマズイ」という考えです。誰もが経営に携わればよいという訳ではない。理科系出身者は技術のプロフェッショナルになることを望んでいる人の相対比率が高いという言い方だってできると思っています。

■イノベーションとは何か
イノベーションを単なる技術革新という言葉で片付けるのは中途半端であり、先生はむしろイノベーションを人間の生活を変える、人間社会の力学そのものと表現していました。人間社会の力学だからこそ、なおさら自然科学だけの知識では不十分であり、ときに心理学や社会科学の知識も重要だという考え方でした。

確かにそうですね。私自身携わった新製品に対しては思い入れを深く持っています。これには個人差があるでしょうけれど、技術には情や念が移りやすいのだと思うのです。

かのシュンペーターはイノベーションを「創造的破壊(Creative Destruction)と表現しています。これに対して伊丹先生は、確かに破壊のプロセスは重要だが、最終的には創造に至らなくてはいけない、つまりは破壊的創造こそが重要だというお話でした。小沢一郎や小泉純一郎といった壊す人に長く人はついていけない。そうではなく、創る人には長くついていける、と。

■人々のドミノ効果で社会を動かす
人間社会においてドミノ効果を引き起こすに至るイノベーション。人々に感動を与え、その感動が他人へと伝染していく。このドミノ効果のドライバーとなるのが、コンセプト・ビジネスモデル・デザイン・ディスカバリーであり、その中でも最も大切なのがコンセプトだというお話でした。

■執筆のスタンス
印象に残った言葉として、性弱説があります。伊丹先生は性悪説はとらないそうです。かといって性善説でもない。むしろ「人は性善なれども弱い」存在、つまり性弱説なんだそうです。これは心に響く言葉でした。

■質疑応答
最後に自分からも質問を投げかけました。技術に生きる製造業にあって、我々のような事務系の人材に対してのメッセージを求めたのです。

これに対して伊丹先生は、「とにかく四の五の言わずにやれ」という強いメッセージでした。これには僕より前に質問した方への回答からの延長であり、その前後をくみ取らないと正確なニュアンスにならないと思いますが、とにかく思った通りにやってみろ、ということなのだと思いました。

しかし浅はかな質問でした。メッセージがほしいというのはあまりにも漠然としていたなと。この質問力の弱さは、やはり対象書籍をよく読み切れなかったことの不安の裏返しなのだと思いました。準備が足りませんでしたね。

ちなみに暗に弊社を特定したところ、「ああその会社は大変だ」とおっしゃっていました・・・

ちなみに、今回の講演会は昨年のワークライフバランス勉強会で知り合いになった岐阜在住の賢明なる読書家さんと共に参加しました。 3月までしばらく東京に滞在なさるということで、また機会をみてご一緒したいと思います。

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