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遠藤功さん『競争力の原点』刊行記念講演会&サイン会(2010/1/19)@丸善丸の内本店

20100119203119先週は月曜日に引き続き、連日で丸善での講演会に参加しました。早稲田大学大学院商学研究科(ビジネススクール)教授であり、ドイツのコンサルティング会社ローランド・ベルガー日本法人の会長でもある、遠藤功さんです。

遠藤先生の声質も口調も熱がこもっていて、最初からハイペースな内容に。とにかくあっという間の講演会でした。

■日本の現状
リーマンショックが起きたから日本の現状が悪いという訳ではなく、そもそも日本はマズイ状態にあったのではないか。結局はこれまでの成長曲線がピークアウトしている状況にあったのであって、リーマンショックはきっかけに過ぎなかった

anothercurve 戦後の高度成長を支えた50年の成長カーブは終焉を迎えたが、一方これは新しい次の50年のカーブのスタートポイントでもあるということで。
このとき、日本・日本企業は何を大切にすべきなのか?それは日本企業の原点に回帰することではないか。体格ではなく、体質で勝負すべきなのではないか、というのが本著作「競争力の原点」での根幹となる考えです。

企業にいてこの表現には本当に実感としてあります。どんよりと思い閉塞感に包まれていたような感覚が、勤め始めてからここ10年ずっとありました。しかし景気はずっと上り調子だった。この状態は今思い返せばものすごい違和感であり、だからこそ抜本的な手が打たれてこなかったのでしょう。

先日見たアンケートで、「オフィス製品は中古品でよい」と答えた人が半数以上に上るという興味深い結果を目にしました(誠Biz.ID:「役員報酬」は無駄、オフィス家具も9割が「中古でいい」)。この市場感覚は当然であると思います。そうであるにも関わらず、大量にOA機器をこれまで通り作り続けることでよいのか。これもずっと抱えていた疑問点でした。このような実感と重なり、「新たな50年を見据え、これまでとは違う価値を創出していかなくてはいけない」という感覚に、自分の中で発展していきました。

■日本・日本企業の体格と体質
体格
を象徴する人口は今後減る一方。GDPはまだ高い状態にあるけれど、一人当たりGDPはこれのどこが豊かなのか?と言いたくなるほど著しく低い。体格に関する指標は、日本はどれも低い状態である。

一方の体質。特許出願件数による技術の蓄積が大きい。産業用ロボットは日本の得意とすべき分野である。または電車の遅れが秒単位という世界基準でみれば虚い的な数値。この緻密さは日本の良さそものものである、と。

結局はWBCで日本が二連覇したことはアメリカ・キューバに代表されるビッグ・ベースボールに対して、日本のスモール・ベースボールが勝利したということ。ビッグは大きいというよりは大雑把という意味であり、一方のスモールは緻密・きめ細やかさ。この体質の良さこそが、次の50年の新しい成長カーブを描く際のキーワードではないか、という考えです。

■脱コモディティ→プレミアム立国へ
結局、体格で優る中国やインドといった新興国に対して、価格以外に差別化要素のないコモディティ市場で勝負するのではなく、プレミアム市場へと大胆な戦略転換をしなければいけない、と説いています。

プレミアムとは、圧倒的に付加価値が高い、圧倒的に品質が高い、圧倒的にサービスが良いという水準のことを指す、という定義でした。この「圧倒的に」という表現こそがポイントで、中途半端なクオリティではだめ。

premiummatrix とにかく戦いの軸を変えよ、という内容には興味を持ちました。プレミアムであるためには、機能的価値(Functional Value)だけではなく情緒的価値(Emotional Value)を追求すべきである、と。

製品はその機能のみが大きな差別化要素としての意味を持ってきました。しかし自社で新製品の市場投入に携わってきた身としては、企業側の追及する機能・技術がいくら高かったとしても、市場のニーズとは乖離しているというのが(実際にマーケットに直面した仕事をしていないにしても)実感としてありました。

それは何が足りなかったかといえば、情緒的価値だったんですね。その製品・サービスを持っている・享受していること自体に価値があったり、または持っていることで付加的な価値が付帯されたり、感情に訴えかけるような価値を有していたり・・・そのような次元には達していないのだということになります。

このポイントは質問リストに挙げていたのですが、情緒的価値の表現を受けて気持ちとしてはスーっと解消しました。

■まとめ
ATMという表現がとても心に残りました。「A:明るく、T:楽しく、M:前向きに」という意味がこめられています。この言葉、以前の勝間流三毒追放のときと同じく、会社でPowerPointで大きく作成し、自席に張り出しました。すぐ管理職の方を中心に複数の反響があって、このスライドをお渡ししました。三毒追放が「~ない」という禁止の表現でまとめられているのに対し、このATMはひたすらポジティブなところがまたよいです。

■質疑応答
競争力の原点」はとても読み進めやすい内容・構成になっているので、連日の講演会ではあったものの、しっかり予習してから臨むことができました。また、講演を聞き、内容をメモしながらも別に質問項目をまとめることができたくらいなので、やはり準備してから臨むと講演会の価値は何倍にもなるなと実感しましたね。

「日本人・日本企業のよさである現場の民力についてはわかるが、その民力を発揮することを阻害する要因となりうる、日本・日本企業の注意しなければいけない欠点は何か?」という質問を投げかけました。

これに対する回答は、ズバリ「経営者です」というお答えでした。経営者がどうブレずにリーダーシップを持てるかにかかっています、とのこと。過去の50年の成長カーブの終焉にいるという認識か、それとも新たな成長カーブのスタートにいるという認識か、この意識確認を経営者に対して投げかけてみては?という回答を頂きました。

また、僕より前に質問した方の質問が興味深かったですね。「欧米もプレミアムを追求してきた場合、どのような競合状態になるのか」という内容です。正確な記憶ではありませんが、こんな表現ではなかったかと記憶しています。素晴らしい質問だと思いました。

これに対する遠藤先生のコメントも更におもろかったのです。
アメリカは物を作らないという選択をしているので、競合するとすればヨーロッパ企業のプレミアムだと思われる。しかし、プレミアム市場は分散市場であり、人々の嗜好に合った、さまざまなタイプのプレミアムが生き残ることができる。そして世界は緻密かつ繊細な日本のプレミアムに反応する・・・という回答でした。一方でコモディティは価格で淘汰されてしまうので最終的に1社しか残らない、と。

■所感
40D_2010_01_20_8671 いやあ、今回のメモは本当に長くなりました・・・それくらい内容の濃い時間で、本当にあっという間の一時間強でした。しかしお読みになる皆さんのためにはなっていないですね。

興味深かったのは前日の伊丹先生の「イノベーションを興す」との考え方の違いです。伊丹先生は「御用聞き営業ではだめだ」と述べている一方、遠藤先生はツールクリニックを実施しているサンドビック社の取り組みを例に、御用聞き営業の重要性を説いている。奇しくもこの単語が前日と違う取り扱いを受けていました。

この講演会も、前日に引き続き岐阜の賢明なる読書家さんと一緒に参加しました。しかも彼が東京で知り合った仲間と一緒の参加でした。遅い時間になっていたのでごあいさつ程度でしたが、今度またゆっくり話す機会がほしいなと思います。
またよろしくお願いします!

 

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