今日はMicrosoft Office & SharePoint Conference 2010に参加するため、午後から東京ミッドタウンへ。本当は午前中に来たかったのですが、業務上叶いませんでした。ということで午後からの参加です。
参加した各セッションのメモと感想を下記の通りだだっと書き連ねます。聞きながらのメモなので、少々見づらいとは思いますが。
なお、各セッションの資料についてはMicorosftのサイトにて公開されていますので、参照して下さい。ただ、MSBCへの登録が必要です。
■A3-1:Outlook2010でさらに進化した次世代ユニファイドコミュニケーション
組織階層アドレス帳や、組織横断の横方向予定管理ビューなどについては、日本の企業文化の需要を反映したものとのこと。
ソーシャルコネクタ
- 人にフォーカスを当てて情報を集約して表示する。社内外の情報共有基盤での本人の更新情報なども一元化できる。
- プロファイル写真を表示する機能は早期導入事例のファーストリテイリングでも評判が良いらしい。
OCS14との連携
- APIで様々なシステムに組み込みが可能であり、ビジネスプロセスのコミュニケーションギャップを生じさせないように工夫できる。
- Outlook上に表示されたプレゼンスで、コミュニケーションを開始する前に相手の状態を確認できる。
- プレゼンスの上にカーソルを合わせると表示されるコンタクトカード。メール・インスタントメッセージ・Live Meetingなどのアクションを瞬時にとることができる。
- インスタントメッセージから音声共有、そしてデスクトップ共有に至るシームレスなデモンストレーション。やり取りした内容はConversation Historyに格納されていく。
- OCSによるWeb会議のデモンストレーション。Roundtableも登場。Web会議のホワイトボード機能は、OneNoteのインターフェイスに似ている。
Conversation Historyはとても使い勝手がよさそう。Outlookからコミュニケーションが始まり、すべての情報がOutllookに一元管理されていくというのは素敵です。それに写真とプレゼンスの組み合わせはとてもわかりやすく、使い易そう。
ベータを使ってきたけれど、2007→2010のバージョンアップで一番進化したのはOutlookだと思っています。でも、フルに使いこなすためにはExchange Serverが欠かせないんだよなあ・・・
■A3-2:Sharepoint2010早期導入事例
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)社によるセッション。早期導入事例の紹介。
CTC社の社内ポータルの変遷
- Knouwledge Pocket → CTC Web Desktopを経て、010年7月からSharePoint2010を利用した社内ポータルサイトに移行するとのこと。
- コラボレーション機能と情報の活用を同時に満たせる製品として、UIも良いSharePointに移行することになった。7月から11月までにSharePointへ統合する。
- 基幹システム・モバイル端末との連携も図るとのこと。
情報活用ライフサイクル
- 情報を収集して活用する情報活用ライフサイクル。立場・役割に応じた情報活用ライフサイクルを繰り返している。
- 収集したデータから洞察・活用へ。しかしなかなか導入推進の効果が表れにくいもの。
- 目に見える成果が表れないのは、忘れがちな盲点があるから。どのようなシーンで活用するのか?情報を活用するのはだれか?どの情報が必要なのか?どのように支援してほしいのか?そもそもその情報は本当に活用できる状態で存在するのか?これらが人によって違うということ。
- 種類・粒度・頻度・鮮度・見せ方・レスポンス。情報活用の要は、非構造データの活用と、時間属性・位置属性の活用にある。
Bing Maps
- 位置情報基盤としてのBing Maps。SilverLightで提供されているため、非常に動きがスムーズ。Google Mapのストリートビューライクな機能もUSから始まっている。
- Photosynthによるパノラマ写真合成機能も秀逸。
- SharePointにマッシュアップすることで、位置情報を活用したポータルサイトやダッシュボードの構築。
事例紹介:株式会社JM
- なおしや又兵衛ブランド。契約店舗は3000点超。
- 現行のMat@bee Systemを新Mat@bee systemをSharePointで構築。取引先・パートナーとのスムーズな情報共有とコミュニケーションを目指す。
- Bing MapsをSharepointへマッシュアップしたデモサイト。東京23区を区ごとに塗り分けたり、地図上から塗り分けていく。リアルタイムな現場の状況を、photosynthで登録していく。二次元で撮影しながら疑似三次元化。
- 各店舗のポータルから、施設概要・予定表・関連ドキュメント・周辺状況・工事進捗状況などを表示。
- SQL Serverと連携したセルフサービスBIのデモンストレーション。ガチガチにBIをダッシュボードに組み込むと柔軟性に欠ける。PowerPivot for SharePointで組み込まれたSilverLightによるUI。PowerPivotへのシームレスな連携。
業務上もっともかかわりを持ちそうなのがBIとの連携。SilverLightのUIも便利そうな印象だし、組み込んでいく価値はある。特にBing Mapsとの連携は、絶対にSCM情報に使えるはず。この機能は気を付けないと派手さだけが先行しがちだけれど、位置情報と経営情報の連携は使えると思う。在庫の状況がリアルタイムで地図上に表示され、そこからドリルダウンされて業務アクションにつながったら絶対にいいはずだ、と確信しています。
■A1-3:Office2010導入・展開手法
初めのアンケートで、Office2010を何らかの形で使っているユーザーは会場の1/3。僕自身ベータ版を利用していますので、このアンケートに挙手。本当、以前も書きましたがとても使いやすく進化したと思います。
IT管理者向けOffice2010の強化ポイント
- コストを抑え、効果を最大化させるプラットフォーム。2007に比べてセキュリティが強化されており、開発のしやすさ、SharePointのクライアントとしての使いやすさの追及、64bitにも対応。
Microsoft Officeの展開プロセス
- 計画→検証と移行→導入と展開→トレーニング→メンテナンス。
- 各プロセスに合ったツールやキットを豊富に用意している。ファイル検証・コード検証ツール等。
- 導入・展開プロセス:Volume Activation環境の準備→インストールポイントの作成→セットアップのカスタマイズ→展開環境の準備→展開の実行。
Office2010のライセンス認証
- Windows Vistaから始まったVolume Activation 2.0にOffice2010が対応。ライセンス認証キーの集中管理と保護を実現する認証システム。ソフトウェア管理上の課題であるライセンス認証キー流出を防止できるメリット。
- 特筆すべきはKey Management Services(KMS)。KMSホストを企業内に設置して、Microsoft側とはKMSホストがライセンス認証をワンタイムで行う。各端末はKMSホストに対して認証要求を行う。内部ネットワークだけで認証が完結する。
- Office2010のKMSホストに対応するOSに、Windows Vistaは含まれていない。
- KMS認証に必要なクライアントのミニマム数量は5台。インストール後に30日以内にライセンス認証が必要。25日を過ぎると警告表示。しかし30日を過ぎても機能制限はないとのこと。
注意点
- OSイメージにOfficeを含んで展開する場合、KMS認証の場合はOffice2010のライセンス認証情報のリセットが必要。OSPPREARM.exeを利用してリセット。そしてOS用のsysprepをかける。
- VisioのKMS認証。Visioはインストールイメージは一つだけれど、ライセンスキーでEditionを分けている。使用するEditionに合ったKMSクライアントキーを展開する必要がある。
アプリケーション仮想化への対応強化
- App-Vの利用により、Office2010の導入。展開およびメンテナンスの作業工数を削減。特定のグループのみにOffice2010を展開することもできる。
- App-V4.6、App-V4.5 SP2がOffice2010に対応。
- Microsoft Office 2010 Deployment Kit for App-V。これまでは仮想化して配信されたアプリケーション同士の連携に問題が出る場合があったが、この問題も解消。SharePointとの連携もとりやすくなった。
- IMEはOSに紐づいている為App-VでIMEを配信できなかったが、IME2010からは単体で配信できるようになった。
- 仮想化展開のデモンストレーション。スムーズでよいですね。
64bitに対応したことは大きなメリットかもしれないです。業務上処理時間が長くかかっているという意見をよく寄せられるExcelの広大なスプレッドシートの表示やマクロ処理、画像が多く貼り付いたPoerPointとか、より安定して使えるようになると思いました。自宅ではメインマシンである自作機が64bitなので環境があるのですが、業務上はないのが懸念。台数規模が大きくなって基幹システムも複雑になると、この辺の身動きの取れなさが何とも歯がゆいです。
そして仮想化によるOfficeno 展開。業務上も数千台という単位で展開していますが、イメージに焼きこむ形での展開しかやっていません。App-Vで展開すれば管理上非常に楽になるのに。何とかできないものでしょうか。自宅の複数台のPCに展開するのにも実は使いたいけれど、コストに見合わないかな・・・?
■A3-4:SharePoint2010 可視化と分析機能による組織レベルの対話型意思決定支援システムの展開
いよいよBIのセッション。Microsoft米野さん、Liveでは初めてお見かけしました。
情報流通の爆発的増加
- もはや情報を持っているだけでは意味のない時代。情報をいかに素早く価値に変えるか。
- SHARE(共有)→FIND(発見)→USE(利用)のサイクルを回す。
SharePoint 2010・価値想像のためのプラットフォーム
- 機能群を組み合わせることでニーズへの迅速へ対応する。
- 意思決定にどう活用していくのか。
Business Intelligenceに対する現場の反応
- 難しすぎる:一番利用する現場ユーザーが必要とする機能がない。または使いこなせない。現場が使えるBIとは何か?現場は素早く動けるようなBIであればよい。
- 分析技術の高い人を主な対象としているのでライセンス単価が高い:高ROIのBIとは何か?恩恵を受ける人が多ければ多いほど単価は下がる。
- 正規化されたデータにするため、データ準備に膨大なコストを要する: 普段使いのBIとは?選ぶための根拠ならばデータでなくても構わない。
BIの目的・現場の視野角
- ベールに隠された真実を推察し、意思決定する。
- 現場には視野を広く保つための情報が不足している。現場に落ちれば落ちる程情報は細分化されている。現場の活動粒度が低いので、視野角が不足していく。
- 集合地の活用により視野を保管していく。色々な立場の人が理解し得いる情報をコラボレーション氏、経験と知恵を共有する。
SharePoint 可視化と分析の特徴
- セルフサービス分析の促進。Excel2010からSQL Serverに接続して分析するデモンストレーション。スパークラインの説明。スライサーの追加。データ絞り込みをフィルタではなくてボタンで選択できるようになった。Excel Servicesを利用してExcelから書き込みを行えるようになった(「変更の発行」機能)
- シームレスなデータと情報の活用。ダッシュボードを起点とした、意思決定の為のすべての情報への包括的なアクセス。Business Connectivity Services。IT部門で分析基盤を構築する従来のやり方では迅速な対応ができない。Performance Point Serviceで各種データを結合してSharePoint上で表現する。このサービスを使ってダッシュボードを作成するデモンストレーション。Dashboard Designerで設計。KPIのスコアリングパターン、基準値の設定など。GUIで簡単にデータの配置・関連付け。
- コラボレーション型BIプラットフォームの提供。場所や形式を意識するkとなく、あらゆる種類の情報に横断的にアクセス、エキスパートの知恵を借りて素早く適切に意思決定。ソーシャルネットワークによる暗黙知の活用。
スライサーによるピボットテーブルの強化は非常にパラフルだと思います。これを利用して色々な業務がぐっと楽になりそうです。米野さんのおっしゃる通り、すべての機能をシングルプラットフォームに搭載していう点がまさにSharePointの最大のメリットですね。
今直面しているのは、現場部門へのBIの説明。基幹システムをハンドでExcelファイルでつないでいる世界ですから。この概念を説明するところから入らなければいけない訳です。データをつなぐことに労力を使ってしまっていて、肝心の分析や判断にかける時間が短くなってしまっている。この状況を打破すべく、BIとはどういうものなのかという紹介を、現場部門に対して地道に行っているところです。
■A3-5:OfficeとSharePointをより強力なビジネスインテリジェンスツールに変えるSQL Server 2008 R2 ~SQL Serverで実現するセルフサービスBI~
さあ、いよいよ個人的には本題のSQL。PMの松澤さんの登場です。
SQL Server 2008 R2で実現するセルフサービスBI
- Excelのピボットテーブルを活用して現場で分析をしているというのが通常のスタイル。しかし、元のデータをIT部門が多次元のデータベースを作っておく必要があった。ただ、これはITの管理者でなくては作れない。それに担当者の発想だけでIT部門への依頼はなかなかできないし正確に伝わる訳でもない。時間もコストも価格。
- そこで担当者個人が分析できるようにしようというコンセプトがセルフサービスBI。私の分析をチーム全員で共有することも可能になった。
PowerPivot for Excelによるインメモリ分析
- Excel2010へのアドイン提供。様々なデータソースからデータを取得して格納できる。PCのメモリ上に圧縮して乗せる。その上で、多次元データベースをクライアントのメモリ上に構築していく。
- デモンストレーション。PowerPivotウィンドウを開き、SQL Serverからデータ収集。指定したテーブルを取り込み。取り込んだデータはシート状に取得される。そしてExcelへ操作を戻し、PowerPivotテーブルからピボットテーブルを構築。スライサーを使ったわかりやすい分析も可能。
- PowerPivotウィンドウに戻り、取得したテーブルで任意に列を新規作成することができる。列を作成したことをExcel側も検知し、多次元データベースの再構築を行い、新規作成された列をピボットテーブルへ取得。
- また手元にあるデータを組み入れていく。リンクテーブルでの取り込みが便利。元のExcelファイルのデータが更新されると、PowerPivot側も変更がかかる。Web上でHTMLで記述されているテーブルをコピーしてPowerPivotへ取り込むことも容易。これらのデータのリレーションをマッピングして、Excel上で多次元にピボットテーブルを構築できる。
PowerPivot for SharePointによる一歩進んだ情報共有
- PowerPivotをSilverLightを活用してリッチにSharePoint上にPowerPivotギャラリーを展開。ビューも色々と選択可能で非常に強力。
- サーバー側のメモリ上で多次元データベースを構築。
PowerPivot管理ダッシュボードがIT管理者をサポート
- 時系列でブックの利用状況がリッチなUIで把握できる。またサーバーのCPUやメモリの利用状況把握も容易。
SQL Serverの活用でさらに進むデータ分析と情報共有
- Excel・Visioに対してアドインとしてAnalysis Servicesの提供。
- データの可視化ツールとしてのReporting Services。SQL Serverのデータだけではなく、PowerPivotと同様に様々なデータソースから多次元にレポートを作成することが可能。
- デモンストレーション。Report Builder 3.0を利用して地図レポートの作成。SQL Serverの地理空間情報を利用。SQL文を記述して作成することも可能だが、GUIで操作可能。Bing Mapsとの連携。色分けやバブルチャート。データをマッピングして関連付け、MAPを作成。SQL Serverからデータを取得して完成。これらの処理がウィザードで操作可能。
今部門として取り組んでいるのがこのSQL Serverを活用したBIです。データを連携させ、多面的に分析する。しかもそれがユーザーの使い慣れたExcelをフロントにしてアクセスされ、ユーザー自身がセルフサービスでBIを実践する。この状態を実現したいのです。
そしてPowerPivot for SharePointはものすごく協力。この機能は欠かせないものだとも強く感じました。やはりOfficeもSharePointも2010が欲しいです。同じお金をかけるなら、2007よりも絶対に2010が良いです。SQL Server 2008 R2も加え、何とかしたいものです。何とかしなければ!
松澤さん、説明スムーズでわかりやすかったです。ありがとうございました。
■全体の所感
繰り返しになりますが、Office・SharePoint共に2010になって大きく進化していることを改めて実感しました。それぞれが進化しているだけではなく、それらを連携して活用することでさらに強力に知的生産を支えてくれるようになる。これは重要なポイントだと思っています。
また、SilverLightの持つポテンシャルもすごいですね。このRIAによる表現手段を持っていることもMicrosoftの大きな強みだと思います。色々な箇所で小気味よいUIを実現していて、視覚的な訴求力がとても強い印象です。
業務上の活用イメージがいくつも具体的にわいてきました。本当に参加してよかったと思います。沢山のインプットを提供頂きましたMicrosoftの皆さん、本当にありがとうございました。
さあ、活用するのは現場の我々だっ!
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